詐欺事件や児童が被害に会う事件が多発している出会い系サイト。
怪しいというイメージが強いですが、実際にどのように運営されているのでしょうか。
今回はそんな出会い系サイトの運営方法や利益をいかにだしているのかということを紹介していきます。
ちょっと興味あるけどなんか怖いという方も中身がわかれば少しは安心して利用できるのではないでしょうか。
出会い系サイトの運営
そもそも出会い系サイトとはなんなのか、またどうしたら始められるのかを説明していきます。
出会い系サイトはつい犯罪の温床になってしまう可能性も高いため、国でも出会い系サイトを開始するにはハードルを設けているのです。
・出会い系サイトの定義
まず出会い系サイトとはなんなのか。
警察では出会い系サイトを定義するため以下の条件を満たしたものを出会い系サイトと定めています。
1.面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者といいます)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。
2.異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること。
3.インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡できるすることができるようにするサービスであること。
4.有償・無性を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していること
「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン
www.npa.go.jp/cyber/deai/business/images/01.pdf
最近では多くの出会い系サイトを目にしますが、この定義に当てはめると同性同士の出会い系サイトや1対1では連絡がとれない掲示板のようなサイトは出会い系サイトには定義されません。
・出会い系サイト規正法
上記の定義は「出会い系サイト規制法」という法律で定められています。
出会い系サイトの利用により児童が被害者になる事件が多発したことを背景に2003年に施行されました。
その後も出会い系サイトの進化や時代の変化により2009年に内容が刷新されました。
内容としては利用者や事業者に対して児童を被害に会わせないための規制が書かれています。
あくまで児童を被害から守るためのものです。
・届けの必要あり
上記の条件にすべて該当する出会系サイトを開始するには出会い系サイト規制法により公安委員会に届け出を出さなければいけません。
届出が受理されると国から番号が付与されます。アプリを見渡してもこの番号が載っていなければ届け出を出していないので十中八九悪質なサービスともいえます。
しかしこの番号はあくまで警察(公安)がサイトの運営者がちゃんと存在するのかのを確認するための書類です。
サービスの品質をチェックしたりするものではないので、番号があるからといって優良サイトなわけではありません。現にどんな詐欺サイトでもこの書類が通ってしまうのが現状です。
ですが番号がないのでもっての外なのでサイトを選ぶ際の一つの基準にしましょう。
・サイトからアプリへ
スマホが普及した今、出会い系サイトもアプリが主流となってきました。
ほぼ全ての出会い系サイトがそのアプリ版を出していますし、新しい出会い系アプリは続々とリリースされています。
しかし出会いの場がアプリに移ったことで法律の落とし穴もできました。
最近では利用者がメールアドレスや電話番号といった連絡先を掲載しなくても書き込みができる出会い系アプリが多く存在します。
このようなサービスは「相互に連絡することができるようにする」役務を果たしていないとみなされ国が定める出会い系サイトに該当しないのです。
もちろんサービスを開始するにあたって届け出を出す必要もなく、上記の出会い系サイト規制法に取り締まられません。
・悪質業者の摘発例
これまで摘発サイトはたくさんありますが、今回はその中でも代表的な事件を紹介します。
2015年に事件が発覚した「e-フレンズ」です。2004年から運営しており延べ270万人から66億円ものお金を騙してとっていたのです。
平均しても年6億ほどの売り上げを出していたことになります。手口はとても単純で男性のアルバイトを大量に雇い架空の女性ユーザーになりすました男性会員からお金をだまし取るという典型的な悪質出会い系サイトそのものでした。
ちなみこの事件が発覚したのは平成26年に男性会社員2人がサクラ詐欺行為で男性会員から9万円だまし取って逮捕された事件です。
シンプルな手口故に運営していた男性スタッフは巧妙に男性ユーザーの心をコントロールする術に長けていたと思われます。
出会い系サイト運営に必要なこと
出会い系サイトの法律関連について説明してきましたが、技術的な面で必要なものを見ていきましょう。
・サイトやアプリ
そもそもサービスとなるサイトやアプリが必要となります。海外の安い制作会社やクラウドソーシングを利用すれば制作費用をいかようにも抑えられます。
しかし最近ではGPS機能などを使った出会い系サプリも数多く出てきているので、何かしらの技術的な特徴を付けなければ満足して利用してもらうのは難しいでしょう。
またサービスの特性上、個人情報も取り扱うためサーバーのセキュリティも必要不可欠になってきます。
またユーザーが増えてもストレスなく利用してもらうためにサーバーも考えて選ばなければいけません。
・決済システム
サービスができても決済システムがなければお金を徴収することができません。
クレジットカード決済ができる仕組みを細かく説明すると、出会い系サイトとユーザーの間に決済代行業者というものが入っています。
その名の通りクレジット決済を出会い系サイトの運営貨車の変わりに代行してくれています。実は出会い系サイトはその事業内容からクレジットカード会社から契約を断られることも少なくありません。
そのため、いくつかのクレジットカード会社と繋がっている代行業者と契約しているのです。
クレジットカード会社は怪しい会社と直接契約しなくて済みますし、代行業者はクレジット決済の手数料などを得るという仕組みになっています。
・運営・管理スタッフ
出会い系アプリはサービスを用意する前よりもリリースした後の方が大変です。
カスタマーサポートやクレーム処理が休みなくあるためとても一人では回せません。
そのため運営・管理スタッフが必要になってくるのです。また現場で働くスタッフの他に運営の仕組みを考える人間も採用しなければいけません。
似たようなサービスの経験者であれば文句なしですが、別のサービスであってもサービスの仕組み作りの経験のある人間のほうが望ましいでしょう。
・アプリ開発スタッフ
アプリの登場によりITサービスの運営は変わってきました。
今まではITサービスは作れば後は売るだけでしたがアプリは違います。
ユーザーのニーズやバグ処理など作ってリリースした後の方が大事で大変になってきたのです。
サービスを作るだけであれば外注して安く済ませることもできますが、しっかりサービスを作っていくには内部にも優秀な開発スタッフが必要になります。
リリースしてからもいちいち外注先に頼むと経費がかさみますし、エンジニアがいた方が外注コントロールも上手くいくからです。
・SEO対策
サービスは作っただけでは売れません。Webサービスの場合人に認知してもらうためにSEO対策も必要になってきます。
SEOとはそのキーワードで検索したときにそのサイトが検索結果の上位に来るために対策です。
どんなにいいサービスでも「出会い系アプリ」と検索した時に2ページや3ページ目に出てきてはなかなか人に見てもらえません。
Webサービスを作ったことがある人の中にはSEO対策も自分でやろうとする人もいますが、専任でプロを雇ったほうがいいでしょう。
SEOは様々要因が絡んでいるため、チェック項目が細かく多いですし、SEOのルールも頻繁に変わるため常にSEOの勉強をし続けなければならないためです。
出会い系サイトの収益源
出会い系アプリの運営に必要なもの説明したところで、次はどのように収益をあげているのか説明していきます。
・ユーザの課金売上
最も分かりやすいのはユーザーが払ったお金です。
アプリの場合、有料アプリは絶対ダウンロードしないというユーザーが一定数いるので登録料でお金をとるのは難しくなりました。
大抵の場合、異性の女性のプロフィールを見たりメッセージを送る際に必要なポイントを購入させる課金システムがポピュラーです。
また信頼性のあるサイトだと月額○○円という定額性もあります。より婚活向けの出会い系サイトだと定額性とポイント課金制が混ざった定額ポイント課金制のものもあります。
また無料でも利用でますが、有料会員になるとよりアプリを使いこなせるようになるフリーミアムというビジネスモデルを採用している場合もあります。
・広告売上
出会い系サイトの売り上げはユーザーからのみではありません。
出会い系サイトだけでなくほとんどのアプリがそうでもあるように広告でも収益をあげているのです。
出会い系サイトの場合、そのユーザーの特性からアダルトな広告が多いようです。
実績があるアプリであれば1週間〇〇円や1ヶ月○○円という固定の収入をあげられますが、そんなアプリは多くありません。
ほとんどのアプリがその広告をタップしたら1回につき○○円だったり、実際にサービスを利用したら〇〇円という体系の広告の方が主流です。
運営にかかる支出
ここでは出会い系サイトを運営していくにあたって使うお金を紹介していきます。
上であげた売上から次の支出などを差し引いた金額がアプリの利益ということになります。
・システム費
システムを全て自社で作ることはほとんどないため、システムを買う必要があります。
決済システムや顧客管理システムなどサービスをより使いやすく、より管理しやすくするためにサービスを購入して取り付けなければいけないのです。
・サーバー費
自分達でサーバーを立上げなら話は別ですがサービスを運営していくにあたってサーバーは必要不可欠になってきます。
ケチって安いもの買ってしまうとセキュリティが弱かったり、ユーザーが増えた場合にサービス重くなる可能性が高くなります。
・集客費
出会い系サービスの集客費にもお金もかかります。もちろん広告をだすにもお金をかけるのにもお金をかけますが、もっと重要視しているものがあります。
それが口コミ評価です。
アプリをダウンロードする前にレビューや評価を確認する必要があるのですが、それをよくするためにお金を払っている会社もあるのです。
ひどい場合にはサービスのリリース日にすでにレビューで「このアプリ出会える」などの書き込みがあるほどです。
・テナント費
企業でアプリを作っている場合にはオフィス代も払わなければいけません。
最近はコワーキングスペースなどを格安で貸し出している場合もあるのでいくらでも抑えることができます。
届け出を出す際には事業者の住所も書かなければいけないためテナントは必要になります。
・人件費
出会い系アプリは一人で運用していくのが難しいため、スタッフを雇わなければなりません。
最近はさまざまな外注サービスもありますが、いいサービスを作っていくには内部に優秀なスタッフを抱えておかなければいけません。
悪質なサイトの場合、サクラスタッフを大量に雇うため人件費もかさみます。
・決済手数料
クレジット決済を導入するにあたり手数料をクレジット会社と決済代行会社に支払わなければなりません。
一回一回は小さな額でもユーザーが増えてくるとその合計額も手数料も増えていきます。
【まとめ】出会い系サイトの内側を知る
出会い系サイトの運営の裏側について説明してきましたが、意外に知らないこともあったのではないでしょうか。
出会い系サイトがどのようにして売上を上げていれば詐欺被害に会うリスクを回避することもできます。
たとえば集客にすごいお金を使ってそうであれば利益を出すためにどこかで高額に課金されることが予想されます。
それがなければ詐欺などでお金を得ようとしていることが予想できます。
利用しているアプリがどのようにして儲けているかを考えれば騙されることも減るのでおススメです。